バックアップボード、アルミエントリーボード、バックドリル用アルミの選定基準と、梅雨期の吸湿管理、板厚とMOQ、納期・通関書類・技術窓口までを一頁にまとめています。設計側の条件はバックドリル設計ルール、材料の絞り込みはバックアップボード選定の手順から辿れます
日本の基板メーカーからの引き合いで、最初に確認されるのは価格ではありません。材料の再現性、ロット間のばらつき、そして書類が揃うかどうかです。この頁では、選定の順序と、引合い時に実際に必要になる数字を整理します。市場全体の比較は 地域別の市場一覧 から辿れます。
高多層、HDI、IC 基板のいずれでも、材料の話は次の三つに収束します。
| 条件 | 現場での言い方 | 供給側が用意すべきもの |
|---|---|---|
| ロット間の再現性 | 「前ロットと同じ穴が出るか」 | 密度・硬さ・反り量の受入基準と、ロットごとの検査成績書 |
| 書類の完備 | 「TDS と SDS、あと化学物質の情報」 | TDS、SDS、材質構成、化学物質情報の提供可否の明示 |
| 納期の読み | 「いつ工場に着くか」 | 生産日数と輸送日数を分けた見積り、通関書類の雛形 |
この三つが揃わないと、サンプル評価の段階に進みません。逆に言えば、価格の前にここを固めておけば、その後の比較は短くなります。
日本国内でも、基板の性格によって効く材料特性が変わります。
| 地域 | 基板の性格 | 材料で効くポイント |
|---|---|---|
| 長野・関東 | 高多層、通信・サーバ向け、HDI | バックドリルの残スタブ管理と、エントリ側の平坦度 |
| 東海 | 車載 ECU、厚銅、多品種 | 長期連続運転でのビット摩耗と、出口バリの安定 |
| 関西 | 産業機器、多層、少量多品種 | 段取り替えの多さに耐える汎用グレードの選択 |
| 九州 | 半導体関連、パッケージ基板、EMS | 微細穴での位置精度と、異物・パーティクルの管理 |
同じ「バックアップボード」でも、長野の高多層ラインと東海の車載ラインでは評価項目が違います。前者は反り量と平坦度、後者は硬度の安定と連続使用時のバリ再現性です。
| 工程・板種 | エントリ側 | バックアップ側 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 標準的な多層(穴径 0.3 mm 以上) | アルミ 1100 H18、0.15–0.20 mm | HDF 840 / 880 | コストと穴品質のバランスが取れる組み合わせ |
| 微細穴・HDI | 潤滑コート付きアルミ | UV メラミン 880 | 摩擦低減と、出口側の面安定性を同時に取る |
| 厚銅・車載 | アルミ 0.20 mm | HDF 880 もしくは UV メラミン 950 | ビット摩耗と発熱に対する余裕を確保する |
| バックドリル(制御深さ) | バックドリル用コートアルミ | HDF 880 | 深さの基準が表面にあるため、平坦度が支配的 |
| 薄板・フレキシブル | 薄手アルミ 0.15 mm | 反りの少ない HDF | スタック全体の剛性が低く、支持の安定が優先される |
材料の基礎データは AA1100 H18 の材料プロファイル と UV メラミン系バックアップボードの仕様 に置いています。製品としての供給範囲は バックアップボードの品揃え と アルミエントリーボードの品揃え を参照してください。
エントリボードは、ビットが基板に触れる直前の入口を作ります。バックアップボードは、抜け側で材料を支え、穴の出口形状を決めます。どちらか一方だけを変えても、期待した改善は出ません。
判別の手順は エントリボードの役割 と スタック構成の高さ試算 を併せて使うと短くなります。
日本では 6 月から 7 月の梅雨期に相対湿度が跳ね上がり、冬季は乾燥します。HDF 系の材料は吸湿すると反りと硬度の両方が動くため、この季節差が穴品質のばらつきとして現れます。
| 症状 | 見るべき点 | 対策の方向 |
|---|---|---|
| 梅雨期に出口バリが増える | 保管庫の湿度、開梱後の放置時間 | UV メラミン系へ切替、もしくは封印包装のまま投入 |
| 反りで穴位置がずれる | 材料の平坦度、パレット積載の荷重 | 平坦度の基準を厳しくしたグレードを選ぶ |
| 冬季に割れ・欠けが出る | 含水率、搬送時の温度差 | 投入前の環境なじませ、段ボールからの即時開梱を避ける |
吸湿の影響を機構から整理した資料は 吸湿と穴品質の関係 にまとめています。
標準のシートサイズは 940×1245、1041×1245、1092×1245 mm です。切断しての供給も可能ですが、切断の有無で単価と納期が変わります。
| 項目 | 標準範囲 | 注意点 |
|---|---|---|
| エントリ用アルミ板厚 | 0.15 / 0.18 / 0.20 mm | 0.15 mm は微細穴向き。厚くすると剛性は上がるが入口バリの傾向が変わる |
| バックアップ板厚 | 2.0 / 2.5 / 2.7 / 3.0 mm | 3.0 mm は再使用前提の設計が多い |
| 最小ロット | 100–200 枚(1 パレット) | 切断・特注サイズは 300–500 枚から経済的 |
| ロット内の許容差 | 密度・硬さ・反りを項目別に規定 | 受入基準を先に合意しておくと、初回で差し戻しが減る |
書類は「あるか」ではなく「何を証明しているか」で見る必要があります。
| 書類 | 証明する内容 | 証明しない内容 |
|---|---|---|
| TDS | 材質構成、密度、厚み、反り、推奨保管条件 | 個別ロットの実測値 |
| SDS | 安全上の取扱いと輸送区分 | 穴品質や加工性能 |
| 検査成績書 | 当該ロットの測定値 | 他ロットの再現性 |
| 品質管理体制の説明 | 工程管理と是正の枠組み | 特定の顧客監査の合否 |
化学物質情報については、書式と対象物質の範囲を先に指定いただければ、提供可否を個別に回答します。認証の写しが必要な場合は、範囲と有効期限を含めてご依頼ください。品質管理体制の考え方は ドリリング材料サプライヤの選定基準 に整理しています。
| 項目 | 目安 | 補足 |
|---|---|---|
| 生産日数 | 7–10 営業日 | 特注サイズ・コーティング指定は別途 |
| 海上輸送 | 7–14 日 | Foshan から横浜・神戸・大阪・東京 |
| 航空輸送 | 3–5 日 | 小ロットの評価用に向く |
| 貿易条件 | FOB Nansha / CIF 指定港 | 初回は FOB で運賃を切り分ける形が多い |
| 通関書類 | インボイス、パッキングリスト、B/L、原産地証明 | 協定税率の適用可否は HS コードと原産地規則で変わる |
| 技術窓口 | 日本語でのやり取り | 仕様確認、サンプル評価の結果解釈まで対応 |
為替と運賃で総額が動くため、価格は通貨と貿易条件をセットで記録しておくことを勧めます。価格の構成要素は シート単価の内訳と着地コスト に分解しています。
高多層や HDI では、材料の良し悪しが「穴が出るか」ではなく「穴が同じ位置に同じ形で出続けるか」で判定されます。評価項目は次の四点に絞られます。
| 評価項目 | 測定方法 | 材料側で効く因子 |
|---|---|---|
| 穴位置の再現性 | 穴位置測定機、CPK での評価 | エントリの平坦度、バックアップの反り |
| 穴壁粗さ | 断面観察、粗さ測定 | バックアップの密度と硬さ、エントリのコーティング |
| 残スタブ | 断面、3D X-ray、光学的深さ測定 | バックドリル用材料の平坦度と厚み公差 |
| スミア | 断面での樹脂状態の観察 | 発熱量、コーティングの潤滑性 |
この四点は相互に影響します。平坦度を上げても、スタックの支持が不安定なら位置精度は戻りません。切り分けの順序は HDI の穴加工ガイド に沿って進めるのが確実です。
単価だけで並べた見積りは、後で必ず比較し直しになります。少なくとも次の項目を同じ表に載せてください。
特に四点目の貿易条件は、運賃と保険の扱いが変わるため、条件が違う見積りをそのまま比べると判断を誤ります。条件を揃えた比較の作り方は 着地コストの組み立て方 に手順を置いています。
サンプルで良好な結果が出ても、量産で同じ結果になるとは限りません。移行時に確認しておく項目は次の三つです。
| 段階 | 確認すること | 見落としやすい点 |
|---|---|---|
| 初回ロット | ロット内のばらつきと、サンプルとの一致 | サンプルが別の製造バッチだった場合の差 |
| 2 回目以降 | 受入検査の合否と、工程側の不良率の推移 | 検査基準が口頭のまま運用される |
| 季節をまたぐ | 梅雨期と冬季の再現性 | 保管環境が変わったことによる差 |
受入基準は初回の見積り段階で文書化しておくと、この移行が短くなります。
仕様を決める前に、数字で当たりを付けておくと議論が早くなります。
評価は、現行品との比較を前提に進めるのが現実的です。次の四点をいただけると、初回の提案が具体的になります。
サンプルの依頼は サンプル請求の頁 から、見積りは 問い合わせ窓口 へお送りください。バックドリル用の材料は バックドリル用アルミ に仕様を掲載しています。
評価用のサンプルは無償で提供しています。輸送費のみご負担いただく形が一般的です。数量とサイズは対象の板種と最小穴径を伺ったうえでご提案します。
仕様確認、サンプル評価の結果解釈、不良時の切り分けまで日本語で対応します。図面や測定データをそのままお送りいただければ、こちらで読み解いて回答します。
HDF 系は吸湿で反りと硬度が動くため、季節差がそのまま穴品質の差として出ることがあります。保管湿度の管理に加えて、UV メラミン系への切り替え、もしくは封印包装のまま投入する運用が有効です。
標準サイズであれば 100–200 枚(1 パレット)から承ります。切断や特注サイズは 300–500 枚からが経済的です。初回評価の段階では、この限りではありません。
ご依頼いただければ提出します。あわせて認証の範囲と有効期限もご確認ください。範囲外の用途については、書類があることと適用できることは別であるため、個別に確認が必要です。